午前中の澄んだ光が、高い吹き抜けから家の中に差し込む。ガラスを通して壁に映し出された複雑なトーンの陰影が美しい。
湘南にあるS邸。リビングには見上げるほどの高さの吹き抜けがあり、その壁面には窓が整然と並んでいます。ホールのような吹き抜け空間には、自然光とライトが調和して穏やかな明かりを創り出し、ダークブラウンの木製の柱が高級感を漂わせています。
かっこいいけれど、どこか自然の暖かさを感じることのできるこの住まい。昼は太陽の光が差し込み、夜は月と星の光がほのかに明るく室内を照らしたり、雨や雪が降り始めるとすぐにわかったりと、自然に対して敏感にもなることができるのが特徴です。
オープンに開かれていながら、しっとりと落ち着いて見える理由は、住まいの色づかいにありました。白を基調に、棚や建具、窓枠、インテリアはダークブラウンで統一。ツートーンのシックな装いは、人を招いた時だけでなく、親子水いらずの時間も安らぎで満たしてくれそうです。
スタイリッシュな印象を与えるのは室内も外観も同じのよう。前面にあるグレーの壁と家屋の間には自転車などを置くことができるスペースがあり、シンプルながらもデザインと効率性を考えた建築には、ただただ感嘆するばかりです。
2階からはリビングを見通すことができ、広々した空間に心も開かれていきます。吹き抜けは空気の流れを作るだけでなく、人とのコミュニケーションを育む設計。いつでも家族の存在を近くに感じることができるというのはなにものにも代えがたいものではないでしょうか。
適度にプライバシーを尊重しながら、大切なところで繋がり合った住まい。別々の部屋で過ごしていても、「同じ家の中にいる」という安心感があるといいます。家が家族の絆を育んでくれる、そう実感させてくれる家です。